幼稚園児のお兄ちゃん

続いては,少し場面をかえて家庭での様子を見てみましょう。マンガは家庭で遊んでいる幼稚園児のAさんの様子です。

どうですか?Aさんの表情から何がわかりますか?

お父さんに褒められてAさんは喜んでいるのでしょうか。何か言いたげな表情に見えませんか。また,マンガからはわかりませんが,お父さんはAさんの表情に気づいているのでしょうか。弟は何か感じているようにも見えますね。

このような場面は,どこの家庭でもよくある場面だと思います。しかし,このようなAさんの表情に気づくことはなかなか難しいと思います。もしかしたら,いつもたくさん関わっているから,距離が近いからこそ見過ごしていることもあるかもしれません。小さな子どもの表情や変化に気づけるようアンテナをはることが大切ですね。

さて,Aさんはなにを感じていたのでしょうか。「お兄ちゃんだから…と言って我慢することが多くてイヤだったのでしょうか。」それとも「褒められている意味がわからなかったのでしょうか。」たくさんのことが考えられますね。

Aさんがイヤだったのは「頭を撫でられること」でした。Aさんにとって褒められることはうれしいことだったのですが,頭を触られることがなぜか嫌で気持ち悪かったのです。これものちに分かったことですが,Aさんは「金属のスプーンの音が嫌で使えない」や「洋服のタグが気持ち悪い」などと感じる「感覚過敏」がありました。

発達障害の人には特定の感覚に反応しやすい「感覚過敏」や逆に感じにくい「鈍麻」がある人が多いです。「聴覚」や「視覚」,「体感覚」(触覚や味覚,嗅覚)の感度が他の人と比べてバラつきがあるのです。Aさんは触覚過敏だったために,本人も理由がわかりませんが「頭を触られると嫌」という感覚になるのです。触覚が過敏な人の中には,嗅覚や味覚が過敏のために偏食になる人もいます。

ところで,あなたは「視覚」・「聴覚」・「体感覚」の何が優位ですか?

定型発達の人でも,それぞれ得意不得意はあります。

たとえば,テストで教科書にあった歴史上の人物を思い出すときに「あ~。これは教科書の右上のページにあったな~」と思い出す人はいませんか?それは視覚が優位で物事を映像で覚えることが多いからです。逆に,文字よりも語呂合わせて覚えた方が覚えやすいという人は,文字を音に置き換えて覚えている聴覚が優位だからです。また,暑さや寒さ,そのときの動作をすると物事を思い出したり,触った時の感覚を鮮明に覚えていたりなど体感覚が優位な人もいます。

私は,子どもたちにあなたはどのように覚えるのが得意ですか?教科書を見て,読むと覚えられますか?それとも,声に出して読むと覚えやすいですか?または,書いて覚えると覚えやすいですか?などと特性を生かした学習指導をします。これは,得意・不得意を知るだけでなく,自分ごととして捉えて,行動することを目的としています。

みなさんも自分の得意・不得意を知って,それを活用してみませんか。

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